地⽅のローカル線を舞台とした「RAILWAYS」シリーズ最新作、W主演に有村架純と國村隼を迎える映画『かぞくいろ』が2018年に全国公開される。この度、現在撮影中の現場からインタビューが到着した。
地⽅のローカル線を舞台に、⼈と⼈とのつながりや⾃分の⽣き⽅を⾒つめ直す姿を温かく描いてきた本シリーズ。本作は、シリーズ初となる「⼥性運転⼠」の物語。夫に先立たれ、夫の連れ子と共に義父に頼ることになった主人公・晶が、“再出発”のために息子が大好きな鉄道の運転士になろうと奮闘するさまを描く。
有村架純:奥薗晶(おくぞの・あきら)役を演じさせていただいております、有村架純です。本当に一つ一つのシーンを、監督が一生懸命私たちを演出してくださって、私たちもそれに一生懸命応えたいという想いでやっていて、素敵なシーンがたくさん出来上がったらいいなぁと思っています。家族再生のお話ですので、観てくださる方に晶の葛藤や奮闘を見守ってもらいたいですし、駿也も本当に毎日、毎シーン全力でやっているので、晶と駿也の関係性も楽しみにしてもらえたらいいなと思います。残りわずかですが、精一杯頑張りたいと思います。
國村隼:奥薗節夫(おくぞの・せつお)役をやらせていただいております、國村隼でございます。私は晶という自分の息子の後妻さんが、いきなり孫を連れて訪れるという、まったく初めての役といってもいい節夫さんを演じています。さらにRAILWAYSというこの鉄道の映画を今回は肥薩おれんじ鉄道さんに全面的に協力いただいています。おれんじ鉄道の沿線の景色もいっぱいにこの映画の中に映し込めて、みなさんに観ていただくことができると思います。色んな意味でこの「かぞくいろ」を楽しんでいただける映画になると思います。
桜庭ななみ:佐々木ゆり(ささき・ゆり)役を演じています、桜庭ななみです。ゆりという役は駿也君の担任の先生、そして子供ができる一人の女性なのですが、初めてのことだらけで、ゆり先生と一緒に私も成長できたらなと思いながら撮影を頑張っています。私は鹿児島出身で、小さいときにおれんじ鉄道に乗ったりしていました。そういった意味でおれんじ鉄道が主役となる、この映画に参加できるということがすごく嬉しいです。
歸山竜成:奥薗駿也(おくぞの・しゅんや)役の歸山竜成(きやま りゅうせい)です。この撮影が始まる前からもリハーサルや、電車のことをたくさん調べて、役作りをすごく頑張ってきました。撮影はその日のカットが全部終わると、「終わったぁ、やったぁ!」と思うけれど、改めて思うとまた最初のシーンに戻りたいなと(終わるのが)すごく寂しくなってきています。
吉⽥康弘監督:本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。これまで本当に撮影は快調に進んでおります。すごく手ごたえのあるシーンがたくさん撮れております。
──晶は、等身大の女性ではありますが、母として、そして運転士として、強い心を持って前に進んで行く女性かと思います。改めて晶役のオファーを受けた時のお気持ちを教えていただけますか?
有村:私はもうすぐ今月で25歳になり、母親役を演じられる歳になったんだなと思いますし、自分の演じる役の幅が少し広がる年齢になったんだなぁとも実感し、とても嬉しく思っています。でも実際に駿也を晶が生んだわけではないので、その複雑な血のつながっていない・血縁関係のない親子という晶の戸惑いと私自身が感じる戸惑いはきっと一緒のような気がしました。そこをあまり考え込むというよりは、友達にも見えるし、姉弟にも見えるし、そういった関係が築ければいいなと思っています。
──晶と駿也君と突然再会をされて、最初は戸惑うけれども、次第に心を通わせていくという節夫さんを演じていらっしゃいますが、今のお気持ちはいかがでしょう。
國村:晶ちゃんと駿也君に息子が死んだことを知らないまま、骨壺を見せられる所から始まるのですが、その息子の死を知らないという親子の関係性であった父親がそこをどう感じるのかをイメージするところから、今回節夫さんに入っていきました。親として何ができていて何ができていないのかを、晶たちが来ることによって節夫さんは自分自身に問いかけながらいたのかと思います。(今後)エンディングを迎えるときに、「かぞくいろ」というタイトルの通り、実の息子には伝えられなかった一つの「家族の形」を、晶ちゃんと駿也君と共に一生懸命模索しながら作っていければ、きっと観ているお客さんにも伝えられるのではないかと思います。
──ゆりは晶と同い年で、そして一人で子供を育てる役どころですが、演じられて今のお気持ちはいかがでしょうか。
桜庭:とても難しい役に向き合いながら撮影を頑張っています。晶さんは実際に自分の生んだ子供ではなくて、血のつながっていない子供を育てながらという所でたくさんの戸惑いがあると思います。私が演じるゆりも相手に家庭がある中で、子供ができるという役を演じているので、架純ちゃんと一緒のシーンはお互いの役柄にひとつでも勇気を与えられるような励ましあうようなシーンになっているので、毎シーン緊張感があります。実際にも架純ちゃんとは同い年なので、現場では話し合いながら25歳同士頑張っています。
──監督は去年からロケハンでこの土地に訪れて準備されてきた中ですが、改めて鹿児島と熊本の魅力をお伺いできますでしょうか?
吉⽥監督:ロケハンの時とはだいぶ寒さが違うのですが、やはりシナリオを自分たちで書かせてもらっているので、この場所でしかない物語にしたいと思っています。東京ではない空の広さであったり、風が海辺で強いので雲が流れるのが早く、刻一刻と風景が変わっていく。また光の演出が変わっていくのも面白く、それを味方につけながら、この場所でしかできない映画になるなと強く感じております。
──肥薩おれんじ鉄道に乗られてみて、この鉄道にどのような魅力を感じましたか。桜庭さんに関しては、思い出を交えながらお伺いしたいです。
有村:東京では本当に人が多く、満員電車に押し潰されそうになりながら日々乗っているかと思いますが、(肥薩おれんじ鉄道は)一両だけで人を乗せてその人を送り出していく、本当に静かに進んでいく電車だと思います。そういう空間は私生活では最近なくて、この電車に乗ると自分自身と向き合える時間があるというか、一駅一駅は長く乗っているわけではないですが、ゆったりと自分自身と向き合える電車だと撮影をしながら感じています。とても素敵な電車だと思います。
國村:単車両でしかも気動車で、電気ではなくディーゼル機関で動いている、なぜか生き物のような、人に通ずるような温かみを感じます。車窓から広がる景色がとてもバリエーションに富んでいて、海岸線で海の綺麗な景色が広がっているかと思えば、山に入っていき、少し行けば川を下ったり、人間の生活がそこに垣間見えるような気がします。このバリエーションに富んでいる景色の印象が人間の温かみを感じさせてくれるのに繋がっているのかなと思っております。
桜庭:私は転校した友達の家へ一人でおれんじ鉄道に乗って行ったことを思い出しました。一人で乗ったのですごく緊張したのを覚えています。途中から乗ってきたお婆さんにすごく話しかけてもらって、それがとても温かいエピソードとして残っています。地元のみなさんの温かさを改めて思い出させてくれる、素敵な電車だと思います。
吉⽥監督:地方で映画を撮影させていただくということは、ここで生きている、暮らしている方たちの場所をお借りして、多大なるご協力の元に撮影をしなければ、決して良い作品にはならないと思っております。みなさんに愛される映画になるようにワンカットも手を抜くことなく、スタッフ・俳優陣とみんなで丁寧に丁寧にモノづくりをして、50年、鹿児島・熊本のみなさんに愛していただける映画になるように引き続き、頑張っていきたいと思います。
映画『かぞくいろ』は2018年全国公開